
(1)では、文章を多少なりとも面白くしようと、私が少し煽(あお)るような書き方をしてしまい、結果としてお読みになった方々に心配をさせてしまうようなことになりました。大変申し訳ございませんでした。
私も全く健康診断を受けてこなかったというわけではありません。「侵襲性(しんしゅうせい)」と言いますが、体への負担が少ない、つまり侵襲性の低い検査は、結構受けてきました。最も侵襲性の低い検査は、痰と尿と便の検査です。
痰の検査は肺癌の検査になりますが、私は痰が出ないので、検査を受けたことはありません。尿の検査は、私、糖尿病ですので、日常的に受けてきてきました。膀胱癌を調べるとなると、尿を顕微鏡で観察してもらわないといけませんが、まあ、簡単に調べられる潜血検査で異常がなければ、あまり神経質にならなくてもよいだろうと思っています。
便の検査は、便潜血検査で、便に血が混じっているかどうかを見ます。大腸癌の検査です。ほとんどの市区町村で、癌検診に採用されていると思います。便の検査は、割とこまめに受けてきました。自分で自分の便を爪楊枝のようなものでひっかきます。たくさんひっかかないと、正確な結果が出ないということですので、便器の前にしゃがんでしばらく自分の便をまじまじと観察しなければなりません。気色良いものではありませんが、ともかく年に1度は検査を受けてきました。
次に侵襲性が低い検査は胸部レントゲン検査や、腹部超音波検査です。肺癌を調べるのには、レントゲン検査が役立ちますが、風船のような臓器を二次元の画像で観察するわけですから、ハッキリわからない場合も多々ありますし、運が悪いと異常を見落とされてしまう場合もあります。超音波はとてもよい検査で、胆嚢癌や肝臓癌を見つけることができます。ただ、胸もおなかも、今やCTやMRIで検査をする方が主流になっています。それでなんとなく胸部レントゲンや、腹部超音波の検査を受ける気にはなりにくいのです。(ただ、胸部レントゲンは市区町村の癌検診に採用されているため、私は比較的頻繁に受けてきました。)とはいえ、CTやMRIを健康診断目的で受けようとすると、10万円以上かかりますから、それはそれでなかなか積極的に受ける気にはなりにくいのです。
その次に侵襲性が低い検査は血液検査です。貧血検査や、その他の一般的な検査は、体の異常を察知するのにはとても有用です。「腫瘍マーカ-」は高額な人間ドックでは、検査項目に入っていますが、これは当てにならないと思います。ただ、前立腺特異抗原(PSA)の検査は前立腺癌の検査として、広く行われていて、診断にも役立ちます。それから、ヘリコバクター・ピロリ抗体とペプシノーゲンの検査は、胃がんの早期発見には役立つだろうと思っています。これも、私が糖尿病であるために、比較的頻繁に検査を受けてきました。そして今のところ、生活習慣病以外の異常所見はありません。
さて、今回のこの一連の文章で最も書きたかったことは、侵襲性の高い検査、すなわち上部消化管造影(いわゆるバリウム検査)、上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)、それと下部消化管内視鏡検査のことです。この3つは、私がこれまでずっと忌み嫌ってきた「御三家」(マジック界にもいますが)なのです。しかし、もういい加減いい年なので、これらの検査を受けなければならないと思ったのが今年の夏のことだったのです。