東京・向島。いつも前を通りがかっていて気になっていたので、思い切って自動車を停めてのれんをくぐってみました。
「日本一の吉備団子屋」というノボリが目を引く小さなお店で、中でおばあさんが店番をしていました。その場で食べる（またはテイクアウトする）吉備団子と、お土産用の吉備団子と、その２種類しかないようでしたので、両方１つずつ買いました。その場で食べる方は、注文が入ってから茹でるらしく、茹で上がるまで、私はおばあさんと二人、差し向かい。
おばあさんは二言三言、口を利いてきます。
「雨、ふるのかねえ」
など。適当に受け答えをしているうちに、ようやく吉備団子が蒸し上がったようで、おばあさんはそこにきな粉をたっぷりまぶして、使い捨ての皿に盛り付けて、「はいどうぞ」と渡してくれました。ビー玉くらいの小さな団子が４個、短い串に刺さっていて、それが皿には5本並んでいます。
団子はふわふわで、串を持っていれば、団子がとろけて串から溶け落ちるのではないかと思われるほど。あっという間に５本食べてしまいました。（お土産用のは、自分で茹でて、付属のきな粉を振りかけて食べるようになっているそうです。）
家に戻ってから見たHPには、こう書いてありました。
「・・・（前略）、どんな人生も度々起こる鬼のような出来事を避けて通ることはできません。そんな出来事にぶつかったときには、きびだんごの力を借りよう！きっと桃太郎のように鬼にうち勝つ勇気と正義が沸いてきます！！代表 : 福永 勝」
もちろんこの文章は、このたびのコロナ禍よりもずっと前に書かれたものでしょう。その吉備団子に、奇しくもこの時期に巡り会えたことに、気持ちが少し明るくなるようでした。