お知らせ

2021年10月17日(日)

準備中

昼休みに車に乗って信号待ちをしていると、運転しているミツバが、モジモジし始めました。そしてまもなくこう言いました。

「前の車は給油口があいたままです。ちょっと行って参ります。」

それであらためて前の車を見てみると、給油口どころか、ガソリン・タンクのキャップまでぶら下がったまま。ミツバはそう言うが早いか、車を降りて、前の車の運転席の窓をコツコツと叩き、運転手さんに給油口のことを伝えました。そしてその足で、今度は給油口に回って、キャップを閉めて、給油口のフタを閉めて戻ってきました。

そしてフード・コートで昼食を摂って、さあ帰りましょう、という段になったら、再びミツバは立ち上がるなり、私たちの横にあったアイスクリーム・ショップに駆け寄りました。離れた所から様子を見ていると、店の女性と何か話しています。最初怪訝な顔をしていた女性の顔はあっという間に笑顔になり、ミツバに何度もお辞儀をしながら、何か飲み物を2つ、どこかに届けに行きました。

「お母さんと小さいお子さんが、アイスクりーム・ショップで何かを注文していかれました。それからあそこの席に座って待っていらっしゃるんですが、その席が、アイスクリーム・ショップからは死角になって見えないようなんです。アイスクリーム・ショップの女性は、親子を探していたようなんですが、見つからないので、商品をカウンターに置きっぱなしにしていたのです。」

その一部始終は私の目にも入っていたはずなのですが、私はそれをなんとも思わずに見過ごしていたのです。弟子には「周囲の人や状況には常に目を配ること」と、常々うるさく言っているのですが、その総本山である私が同じ日に2度までも、弟子に教えられてしまいました。自分の至らなさを恥じる気持ちもあり、弟子の成長をうれしく思う気持ちもあります。

人に接するときは、まずその人に関心を寄せなければなりません。

「お前には興味がないが、俺のマジックを見ろ。」

とまで言う人はいませんが、何も言わなくたって自分の気持ちというのは、相手に明確に伝わるものです。私はもっと深く反省しようと思いました。