幸せになりたいの。
嫌よ、貴方と別々に
なんて…そんなの私
じゃないから。一生
私の愛する人は貴方
だから、おねがい。

SNSで、表示して読みやすい「原稿用紙」の画像とは、9マス×6行であろう、それなら54文字ピッタリの物語を楽しんでもらえるようになれば、それが書籍への入り口になるのではないか、という素晴らしい発想で、氏田雄介さんが始められたのが「54字の文学賞」。昨年は「第７回54字の文学賞」が催され、3,519作の応募があったそうです。

冒頭の作品が、その54文字の作品の例。既にテレビ番組でも取り上げられ、SNSでも繰り返し紹介されているので、皆さんご存じだと思いますが、上から順に6行を読むのと、下から逆に1行ずつ遡って読んでいくのでは、意味が全く変わるという、驚きの作品。

これがキッカケなのかどうかわかりませんが、2020年元旦の、そごう・西武の新聞全面広告では、「さ、ひっくり返そう。」という大見出しで、上記と同じような構造の文章を掲載しました。

大逆転は、起こりうる。
わたしは、その言葉を信じない。
どうせ奇跡なんて起こらない。
それでも人々は無責任に言うだろう。
小さな者でも大きな相手立ち向かえ。
誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。
今こそ自分を貫くときだ。
しかし、そんな考え方は馬鹿げている。
勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。
わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。
土俵際、もはや絶体絶命。

2018年には、ブレイク前の「鬼滅の刃」（ジャンプ・コミックス）などの宣伝にもがこの手法が用いられました。そして今日、友人のスティーブ・マーシャル氏が、その「英語版」的な詩をタイムラインでシェアしていました。この詩もよく知られてはいるのですが、それを最後に日本語に訳してみました。以下の「（Pretty)」と「（かわいい）」は、本来はカッコに入っているのではなくて、天地が逆さまに表記されています。

（Pretty) Ugly

I’m very ugly.
So don’t try to convince me that
I am a very beautiful person
Because at the end of the day
I hate myself in every single way
And I’m not going to lie to myself saying
There is beauty inside of me that matters
So rest assured I will remind myself
That I am a worthless, terrible person
And nothing you say will make me believe
I still deserve love
Because no matter what
I am not good enough to be loved
And I am in no position to believe that
Beauty does exist within me
Because whenever I look in the mirror I always think
Am I as ugly as people say?

（かわいい）　ブス

めっちゃブス
わかってるから、こんな言葉で惑わせないで
「とてもキレイだ」
1日の終わりに思うことは
自分のどこもかしこもキモい
自分にこんな嘘はつきたくない
内面は美しい、それこそが大切だと
ええ、安心して。自分でこう言い聞かせてるわ
何の価値もない、悲惨な子だね、って
だからあなたがこう言っても信じない
「私にだって愛されるだけの価値があるんだ」
私が考えた末の結論は
「私には愛される資格すらない」
どう考えてみても信じられないのはこの言葉
「私は内面が美しい」
鏡に向き合えばいつでも思ってしまう
「私はみんなが言うようなブスなの？」

この英語の詩を読むと、文章構造の秘密に気づいたときの驚きよりは、詩が表現する「ヒト」の強さ、素晴らしさを強く感じさせられます。マジックの不思議にも同じで、ただ驚かせておしまい、ということではなくて、観客にその先の世界を垣間見させる、予感させる、そんな不思議を工夫していくとよいのだがなあと思っています。

#magic #マジック

＜結婚前＞↓に向かって読んでください

男：やった！待ちに待った日がようやくやってきたよ！本当に待ちきれなかったよ！
女：結婚やめてもいいかな？
男：ノー、そんなのありえないよ。
女：私のこと愛してる？
男：当然だよ！
女：裏切ったりする？
男：ノー、どうしてそんな風に考えるのかな？
女：キスして。
男：もちろん。一度だけじゃ済まないよ！
女：私に暴力を振るう？
男：永遠にありえないよ！
女：あなたを信じていい？

＜結婚後＞↑に向かって読んでください