お知らせ

2021年11月26日(金)

「エリオット博士の5フィートの本棚(Dr. Eliot’s Five-Foot Shelf of Books)」という言葉があります。エリオット博士とは、チャールズ・ウィリアム・エリオット(Charles William Eliot [1834~1926年])のことで、長くアメリカのハーバード大学の学長を務められた人です。「5フィート」とは約1.5m、つまり両腕を広げたほどの長さです。世の中にあるたくさんの本の中から厳選た、この1.5mの本棚に並ぶだけの量の「必読書」、というような意味で用いられます。

「死ぬまでに読みたい100冊」などと同じような趣向ですが、本には厚いものも薄いものもありますから、冊数ということではなく、「1.5mの本棚に収まるだけの本」としたところが、面白いと思います。エリオット博士は、「教養の基礎は、5フィートの本棚に収まる蔵書と、1日15分の読書により得られる」とおっしゃっていたのだそうで、実際、エリオット博士は1909年に、「ハーバード・クラシクス(Harvard Classics)」という50巻からなる書籍を出版されています。1冊の厚さが平均3cmだと、50冊で1.5mになりますから、実物は見たことがありませんが、想像はできますよね。

メンタリズムで有名なアメリカのマジシャン、セオドール・アンネマン(Theodore Annemann [1907~1942年])は、1934年10月に、「ザ・ジンクス(The Jinx)」というマジックの雑誌を発行し始めました。1935年5月に「マジック本のための1.5mの棚(Five-Foot Shelf of Magic)」と題して37冊のマジックの本を紹介したそうです。また、イギリス・ロンドンに本部を置くマジックの国際組織「ザ・マジック・サークル」の機関誌の「マジックサーキュラー(The Magic Circular )」の2013年4月号には、「ザ・マジック・サークルが選ぶマジック本のための1.5mの棚(The Magic Circle Five-Foot Shelf of Magic Books)」という記事が掲載されました。

このザ・マジック・サークルの1.5mの本棚には、「ターベル・コース」や「アワ・マジック」などの必読書が並べられていますので、マジックをしっかり勉強したいという方々にとっては、これはとても有益なリストだと言えます。タマリッツの「The Five Points in Magic」やトミー・ワンだーとステファン・ミンチの共著「The Books of Wonder」と並んで、私が翻訳したケン・ウエバーの「マキシマムエンターテインメント」も含まれています。
https://www.script-m.jp/shop/performance-method/maximumentertainment/

さて、皆さんにとっての、「1.5mの本棚」とはどのようなものなのでしょうか?